英語で言いたいことを言えるようになるには?

英語で言いたいことを言えるようになるには?

英会話を学習していると「けっこう続けてるのに、なんかあんまり話せるようになってない気がする…」という焦りを感じることがよくあります。なぜこのような焦りを感じてしまうのでしょうか?また、話せている実感を得るにはどのように学習を進めたら良いのでしょうか。3つの視点からお話しします。

This is a pen.はいつ使う?

はじめにご質問です。
皆さんは、英語の勉強を始めた頃に出てきた例文を覚えていますか?

人それぞれバックグラウンドがありますが、多くの方が初めに触れたのは、中学校の教科書に載っていたMy name is ○○.やThis is a pen. などではないでしょうか。

では更にご質問です。
それらの表現を、今でも会話の中で使っていますか?

実はここが、日本の英語教育で長年課題とされてきた点です。学習初期に憶えた表現を滅多に使わない、もしくは使えないことが多かったんですね。現に、例に挙げたMy name is ○○.は、自己紹介の時にこう切り出すことはまず無いという理由で今はI’m ○○.になっていますし、This is a pen. に至っては使う機会がそもそも無いということでよく笑い話にされています。そもそもbe動詞は最初にしては変化が複雑なので、今は一般動詞から入る教科書が大半のようです。

英語の表現は、会話の中で使う機会が多ければ多いほど定着します。
ということは、自分が日本語でもよく言うフレーズを英語で言えれば、頻繁に使うので憶えた労力に対する効率は最も良いはずです。使う頻度が高い表現は人によって違いますので、言いたい表現があればそれを最優先に憶えましょう。

一見当たり前のことのように思えますが、こうした「最も使う表現から憶える」ことを実践している方は意外に多くありません。テキストを前から順に読み、出てきた順に憶えるのが当たり前になってしまっていて、その結果、This is a pen.のように「それいつ使うの?」という表現をたくさん憶えてしまうのですね。「一生懸命憶えたのに全然使わない…」と、憶えることに疲れて学習を途中で止めてしまっては元も子もありません。

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ちなみに私は、英会話を始めた頃「よろしくお願いします」を英語で言いたくていろいろ調べていたのですが、どうも常にぴったり該当する表現は英語には無いということに気づきました。むしろ日本語の「よろしくお願いします」が万能なんですね。例えば、これから一緒に仕事をする相手に伝えたい時は、I’m really looking forward to working with you.と言います。直訳ではまず出てこない表現です。

例文の正しい憶え方と活用方法

では、言いたい・憶えたい表現を見つけ出したら、それはどのように憶えるのが良いのでしょうか。
私は、スピーキングを上達させるには次の3段階を踏む必要があると考えています。

①いつも一字一句変わらないもの(挨拶・相づち・定型表現)を憶える
②決まった「型」(それ以外の単語やフレーズは状況に応じて変わる)を使えるようにする
③論理構成をきちんと考えて表現する

このうち、例文暗記に係る①と②についてお話しします。

①いつも一字一句変わらないもの(挨拶・相づち・定型表現)を憶える

Hello.やBye.に始まり、Exactly!(その通り!)やGo ahead.(お先にどうぞ)など、その場面になれば憶えたそのままの形で使えるものです。先ほどの「I’m really looking forward to working with you.」もそうですね。形を変える必要がないので、見本の音声をまねてひたすら繰り返し発声して、一字一句意識しなくとも半分無意識に口をついて出てくるようにすれば、会話中にそのまま使えます。
コツとしては、繰り返しの回数は10回20回では足りません。時間を空けたり文脈を変えたりして計100回を目指してまねてみてください。

②決まった「型」(それ以外の単語やフレーズは状況に応じて変わる)を使えるようにする

例えばI’d like~(~が欲しい、~したい)でしたら、「型」であるI’d likeはいつも同じで変わるとしても主語くらいですが、~の部分は場面によって変わります。お水が欲しければI’d like some water.となりますし、旅行に行きたければI’d like to go traveling somewhere.となります。①と異なり、型とその使い方を憶えてしまえば、表現できる内容は一気に広がります。「型」は人によって「釣り竿」と呼んだり「フレーム」と呼んだりしますが全部同じものです。

ご注意いただきたいのが、型の部分だけ丸暗記してしまえば使いこなせるかというとそうでもなく、~の部分に様々な単語・フレーズを入れて実際に口に出す練習をする必要があります。例えば、メニューが決まらず「あなたがオススメしてくれたものがいいな」と言いたい時に、I’d likeまでは言えても「オススメって何て言うんだっけ…?」と詰まってしまったりするからです(正解はI’d like what you recommend.)。

この時、いわゆる「瞬間英作文」のように、日本語を見てそれを英語に直して~に入れるのでは効果が半減します。実際の会話では、日本語を英語に直す時間はなく、思い浮かんだものを直接英語にできないと会話のスピードについていけません。イメージを直接英語にできるように練習する。日本語は、それができない間のつなぎとして使うに留めましょう。

以上、まず憶えたい表現が①と②のどちらに該当するかを分けて、それから取り組んでみてください。これまで闇雲に英文を憶えて使いこなせなかった方も、このように分類して捉えるとイメージがつきやすいのではないでしょうか。

英語にしやすい日本語に変換する

先ほど「日本語はイメージを直接英語にできない間のつなぎとして使う」と申し上げましたが、そもそも日本語と英語は真逆と言ってもよいほど構造が異なる言語です。母語である日本語の感覚のまま英語に直そうとすると大抵うまくいきません。これを克服するために、少し発想の転換をしてみましょう。

例えば、「運動不足なんです」と言いたいとします。

このとき、運動って何て言うんだっけ?不足は?と考えてしまいがちです。英語に必須の主語がありません。このまま英語にしようとすると、運動=exercise、不足=lackが出てきたとしてもI’m lack of exercise.(私には運動と言う要素がない?)のような、不自然な英文になってしまいます。

日本語は「曖昧な言語」と言われ、抽象的に一般化することを好みます。そのため、日本語を英語に直訳しようとすると、上記のように何でもかんでもbe動詞を使った表現になりがちなのです。be動詞は私たちが思っているよりも意味が限定的なので、どうもあまり見かけない堅い感じの表現になってしまうのですね。

一方で、英語は「具体的な言語」と言われ、具体的かつ動的です。
そこで、直訳したい衝動をグッとこらえて、以下のように日本語の表現を少し変えてみましょう。コツは「結局どういうことを言いたいのか」を考えることです。

①私は充分な運動をしていない。
②私にはもっと運動が必要だ。

そうすると、①はdoとenoughを、②はneedを使って次のように表現できます。

① I don’t do enough exercise.
② I need more exercise.

①でもだいぶ英語っぽくなりましたが、②はもっと的を射た感じがすると思います。
というのも、「運動不足なんです」という内容で結局一番言いたいのは「もっと運動しなければ」です。そのことを、極力be動詞ではなく動的な一般動詞を使って表現するために、日本語を少し違う角度から言い換えています。

英会話ではよく「自分の知っている単語・表現を最大限に使う」といった内容のことが言われていますが、そのことにはこうした「日本語を変えて英語に直しやすくする」ことも含まれています。これは母語とはいえ練習が必要なので、自分が言いたい日本語と正解の英文を両方用意し、どういう日本語にすればパッと英文が浮かぶかを試行錯誤してみましょう。繰り返しますが、「結局どういうことを言いたいのか」を考えると上手くいくことが多いです。
 
 

言いたいことを言う。当たり前のことのようですが、外国語として言語を学んでいると忘れがちなことでもあります。ぜひ、自分の考えや思いをきちんとタイミング良く伝えられるように、言いたいフレーズは上記のような方法で練習してみましょう。
 

 

この記事を書いた人
株式会社インターナル・ドライブ 英語学習コーチ
英語コーチングが普及する初期より活動し、3ヶ月間でTOEIC200〜300点UPを多数輩出するコーチングスクール

    監修:同社代表取締役 船橋 由紀子

  • 11年間で約5000名の英語指導に従事
  • アドラー心理学やNLPも駆使した英語指導で、短期間でのTOEICスコアアップ、英会話力アップする方を次々と輩出
  • 監修の船橋の著書「英会話は筋トレ。」は3万部を突破
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HanasoBizスタッフ編集