社員の英語学習をサポートするために大切なことは?

社員の英語学習をサポートするために大切なことは?

このサイトをご覧になっている方には、企業の研修担当や教育担当をされている方も多いと伺っています。社業の発展のためにも社員には英語を身につけてほしい。しかし、かけられる予算は限られている、予算をかけるからにはどうしても一定の成果が求められる、何より学習者のモチベーションを保つのが思いのほか難しい…様々なお悩みを抱えていらっしゃるものと推察します。

ここでは、起こりがちな事例とともに具体的な解決策をお話しします。私自身、複数の企業様の英語研修に長年携わってきた経験から、社風の差こそあれだいたい似たような傾向に収斂することが分かってきました。そのことも適宜お伝えできればと思います。

具体的なロードマップを示す

英語は「伸びた!」という分かりやすい指標があまり無い科目です。社会人にとってメジャーな試験にTOEICがありますが、通常のTOEICで直接測れる「読む・聴く」といった能力はともかく、話す・書くが含まれている試験は、大多数の日本人社員にはそもそもハードルが高いという現実があります。

そこで、自社が求めるレベルに合ったロードマップを描いてみることをお薦めします。

例えば、まず全社員TOEIC730点、あるいは860点を取ってもらい、クリアできたら英会話プログラムを受講してもらう。海外MBAなどの大学院留学を推奨していれば、TOEFLやIELTSの「○○大学の留学にはいくつ必要」といった具体的なスコアを提示する。海外支社とのコミュニケーションを重視するならば、支店との会議(テレカンやZoom)に実際に出席してもらい、生のやり取りと目指すべきレベルを肌で感じてもらう、等々…。

こうした具体的な道筋を示すことで、なんとなく「英会話に通ったほうがいいのかなあ…」と考えてしまう事態を防ぐことができます。もちろん、英会話スクールや英会話プログラムは適切な使い方をすれば効果てきめんなのですが、具体的な目標も持たず漫然と取り組み、貴重な資金と時間を使い続ける社会人があまりに多いのもまた事実です。

それに加えて、詳細はここでは割愛しますが、日本では英語にまつわる真偽不明の風説が多く、何を信じてよいか疑心暗鬼に陥っている方が少なくありません。そうした方々に最初の一歩を踏み出してもらうためにも、モデルケースとなるロードマップをご準備いただき、可能な範囲で社費で用意していただくことをお薦めします。仮に会社の予算に余裕が無くても、何に取り組むのにいくらかかるのかを例に出しておけば、個人でも資金計画を立てることができます。

人は、例えば今日のランチに何を食べるかを一旦具体的に考えてしまうと、それが食べられなかった時にものすごい喪失感を覚えてしまいます。つまり、頭の中で一旦具体的になった目標や計画はむしろ放っておけなくなってしまうのですね。ぜひ社内でロードマップを練っていただき、社員さんの頭の中に具体的に目標を描いてもらいましょう。

社員同士で体験談をシェアできる場を設ける

これは研修講師としては複雑な気持ちになることなのですが、どんなに自分の苦労話や伝え聞いた珠玉の(と思っていた)エピソードをお話ししても、研修生さんの心に最も響くのは同じ研修を受けた同じ会社の社員さんの体験談なのです。

これには理由があって、先述したように、人は一旦具体的に頭に描いてしまうと逆に簡単には忘れられないようになります。そして、具体的に思い描きやすいのは圧倒的に自分と同じ環境に置かれている方の話です。ましてその体験談の主が、知っている先輩だったり同僚だったり同期だったりしたらどうでしょうか?

そして、私が見てきた限りでは、社風が特徴的で濃い企業の社員さんほど「身内の体験談」に共感しやすいようです。やはり皆さん日々忙しいなかで、それぞれ学習時間の捻出方法や仕事との向き合い方に苦労されていて、そこから脱却しようと必死に模索していらっしゃるのですね。

そこで、そうした体験談をシェアできる場を設けて、気軽に参加できる形を取ってみましょう。例えば、英語研修の中で感じたことを都度チーム単位でシェアしてもらう、同じ研修を過去に受けた方にインタビューしそれを視聴してもらう、などです。研修が無い場合は、スピーカーやパネラーとして英語を克服した社員さんに登場してもらい、シンポジウムや懇談会の形式で企画しても良いでしょう。

なお、著名な方を招いても良いですし、私も実際に参加したことがあるのですが、特に企業主催だと「いやアナタはできるだろうけどさあ…」という雰囲気になりがちです。これは私の想像ですが、逆に言えば同じ社員相手のほうが「今の自分の状況を理解してもらえる」という承認の意味合いを強く感じていらっしゃるからではないかと思います。

適切な「報酬」を用意する

英語学習はよくスポーツに例えられます。取り組むのに長い時間が必要、コツも必要。しかしそれだけでなく、一度は短期間で労力を集中投下しないと壁を超えられないからです。

例えば、TOEICの集中講座だと週15時間、つまり1日2時間超を3ヶ月続けていただきます。劇的に伸びる方は週20時間前後まで到達します。休みなく1日3時間だと、ほぼ定時で上がれる部署の方でもそう簡単には達成できません。家庭を持っている方なら尚更ですし、ご家族の協力も不可欠です。しかし、そこまでの時間と労力と費やしたとしても、一種の能力開発ですから必ず伸びるという保証は残念ながらどこにもありません。

そうなると、「目の前にニンジンがぶら下がっていないとやる気がしない」という方でなくても、二の足を踏んでしまうことは想像に難くありません。社会人の英語学習を困難にしている大きな要素の1つに、この「時間確保の難しさ」があります。

だからこそ、困難を乗り越えるためのニンジン、つまり報酬が必要になるわけですが、この報酬の設定が案外難しいのです。というのも、英語は継続することが最も必要であり最も難しい科目です。その継続をしてもらうために、会社側としてはいちど燃え上がったやる気の炎に薪をくべ続けたいわけですが、限りある予算の中で全てを会社負担にするのはなかなか難しいこともあるからです。

そこで、先にご紹介したロードマップと組み合わせて、無料と有料を上手く組み合わせてみましょう。例えば、TOEIC研修や英会話を最初に受講した時は全て会社持ち、そこからそれぞれの目標をクリアするまでの延長戦は自費。社費留学は1人あたりにかかる金額が段違いなので会社さんごとに方針がお有りかと思いますが、留学要件にあるTOEFLやIELTSは受験料がそもそも高いので、団体受験で受けられるようにするか(IELTSは教育機関のみ)、回数上限付きで受験料を経費扱いにするなどは比較的ハードルが低いと思われます。必要に応じて現地語学学校等への短期留学プログラムを社費で組むのも有用でしょう。

いずれにせよ、時間が上手く確保できずに同じレベルで何年も立ち止まってしまっている社会人は少なくありません。本業のお仕事に真面目に取り組んでいる社員さんほどその傾向がある、という悲しい現実もあります。本記事では報酬という言い方をしていますが、そうした困っている社員さんのテコ入れをする形で費用を投入する、という発想だと現状を動かしやすいかもしれません。

 
具体的に描けた夢はやがて現実になる。
夢を描くお手伝いをし、それらが消えてしまわないように適切に資金援助する。そうして世界に羽ばたく社員さんが1人でも増えるよう、心から祈念しております。

 

この記事を書いた人
株式会社インターナル・ドライブ 英語学習コーチ
英語コーチングが普及する初期より活動し、3ヶ月間でTOEIC200〜300点UPを多数輩出するコーチングスクール

    • 監修:同社代表取締役 船橋 由紀子

    • 11年間で約5000名の英語指導に従事
    • アドラー心理学やNLPも駆使した英語指導で、短期間でのTOEICスコアアップ、英会話力アップする方を次々と輩出
    • 監修の船橋の著書「英会話は筋トレ。」は3万部を突破

HanasoBizスタッフ編集