オンライン英会話を継続するためのコツ5選

オンライン英会話を継続するためのコツ5選

英語は継続することこそが最も難しい類の学習です。今度こそは英語を身につけたい、そう心に刻んで英会話を始めたものの、様々な理由で挫折してしまう方が残念ながら少なくありません。ここでは、よくある挫折の理由とその解決策を見ていき、継続するためのコツを考えてみましょう。

「英会話=練習試合」であることに気づく

これまで「英会話をやってみたけどあまり上達しなかった」と感じていた方とお話ししてきて、ほとんどの方が陥っていたのが「いきなり会話にトライする」というものでした。これは、いわばスポーツにおいて練習せずに練習試合だけを繰り返しているようなもので、無駄ではありませんがこれだけでは上達は難しい状況です。

 
スポーツでいう練習にあたるのは、英会話では「予習・復習」です。特に学習の初期段階では、どういう単語・表現を使って会話するかを事前に予習して言えるようにしておき、それらを実際の会話の中で使ってみることが非常に大事です。

 
やり方を知っているだけの技は、いきなり試合では使えない。だから何度も練習し、練習試合でも使ってみることが大事。スポーツでは当たり前のように認識されていることですが、なぜか英会話になると「知っている=会話でも使える」と思ってしまう方が非常に多いんですね。

 
これはおそらく、英語に「勉強」として接してきた方がほとんどで、知識として知った段階で止めてしまいそれ以上の練習をしてこなかったことが原因だと思われます。もちろん、知っていること自体は無駄どころかむしろ必要なことなのですが、勉強での英語と実戦で使う英語の決定的な違いはその「スピード」にあります。

 
例えば、単語の意味は勉強では2~3秒で出てきたら速いほうですが、会話で話すたびに「これ英語で何て言うんだっけ…?」と2~3秒止まっていたらそもそも会話になりません。多くの学習者は、このスピードのギャップを予習(=練習)で埋めようとしないまま英会話(=練習試合)に出てしまい、どんどん自信を失ってしまうという悪循環に陥っています。

 
よって、英会話に臨む際は、特に最初のうちはこの予習に時間を割きましょう。カリキュラムに予習内容が組み込まれていれば最高ですが、そうでなくても講師と相談して「今日はこの内容を話す」と決めておき、単語・表現をいくつか拾って練習しておくのが良いでしょう。

 
なお、「いきなり実戦で話し復習で身につける」という方法ももちろんありますが、それが実のあるトレーニングになるのはある程度話せるようになってからで、多くの方にとっては思っているよりずっと先の話です。初めのうちは、進度が遅いと感じても予習をきちんと行い、確実に使える表現を増やすことを優先しましょう。そのほうが結局近道です。

 

言いたいことから言えるようにする

ある調べでは、学習参考書に取り組むときに最初から通しで読む方は7割を超えるそうです。そして、その場合途中で挫折する率が高いこともよく知られています。これは一体なぜなのでしょうか。

 
ほとんどの学習参考書では、学習者が理解しやすいように基礎的な内容から順に書かれています。これはこれで、その分野を全く知らない方にとっては親切な設計です。しかし、それだけならば理解しやすいので挫折率は高くならないはずです。

 
最初から通しで読むことの問題点は「全部の内容が大事に思えてしまう」ことにあります。

 
最初から読む方のほとんどは、全体像を描かないうちに読み始めてしまうので、1つ残らずマスターしようと全力疾走してしまいがちです。その結果、途中で疲れてしまい挫折する、もしくは読み終えられても結局何が大事かを把握できないままになってしまうというわけです。これは、参考書でいえばページ数が多く、内容が多岐にわたる場合により顕著に現れます。

 
なぜこのようなお話をしたのか。

それは、英会話においても全く同じやり方で取り組む方が非常に多いからです。そして、言うまでもなく英語は非常に裾野が広く、参考書にしたら膨大なページ数になる内容です。

 
この現象は、英語学習の世界では「This is a pen問題」としてよく知られています。小中学生の頃、英語の習いはじめの時に誰もが最初に目にするこのフレーズですが、実戦で使ったことのある方が果たしてどれだけいらっしゃるのでしょうか。実際、せっかく憶えても一度も言ったことがない方がほとんどで、そのことがよくネタにされています。

 
もちろん、この文は「This is~」という構文の代表例だからこそ最初に出てくるわけなのですが、それならば「~」の部分はどんな内容でも良いはずで、固定して憶えるならば日常生活で自分が最も使う内容のほうがよく繰り返しますし身につきやすいはずです。

 
冒頭で参考書のお話をしたのも、This is a penを例に出したのも、与えられた内容をそのまま憶え切れるほど英語の海は狭くも浅くもないということなのです。まず、自分はどういうフレーズを英語で言いたいのかを日本語で書き出してみましょう。それらの内容から言えるようにすれば、言いたいことを英語で言えるし使う頻度も多いしで良いことづくめです。

 
ちなみに私は、This is~でしたら「This is 〇〇 speaking.」(〇〇は名前)をベースにして使っています。電話に出る時のフレーズですので仕事で使わない日はありません。こうした少しの工夫で、無限にも思える英語表現の歩留まりは確実に向上します。ぜひ取り入れてみてください。
 

 

的を絞る

2.のお話とも繋がるのですが、一口に「英会話」といってもその裾野は非常に広く、英語で最も難しいのは商談に入る前などの雑談(small talks)だと言う方もいるくらいです。どんな内容が飛んでくるかわからず、きちんと対処するには相当な数の単語・表現を使いこなせないといけないからなんですね。

 

よって、学習する時はきちんと的を絞って取り組みましょう。「今週は自己(自社)紹介ができるようにする、そのために今日は〇個の表現を言えるようにする」といったように。2.でお話しした「言いたいことから」憶えるという意味で、それらが一覧になっていて都度自由に選べるのがベストです。

 

ちなみに、よく受けるご質問の1つに「何回練習すればいいんですか?」があるのですが、私は「1つの表現につき100回」と答えています。これは誇張でも脅しでもありません。ただし、例えばThis is a pen.をそのまま口ずさむこと、This is~の「~」の部分を入れ替えて思いつくかぎり言ってみること、などを含めて全部でという意味です。実際、考えずともスラスラ口を突いて出てくるようにしようと思うと、それくらいの回数は知らないうちに繰り返していることがほとんどですのでご安心ください。

 

語学における究極の目標は、母国語と同じように「考えなくても出てくる」状態にする、つまりその言語を自動化することです。その為の手段として昨今ではシャドーイングなどがよく知られていますが、ほとんどの方は圧倒的に繰り返す回数が足りていません。再現度が不十分なまま幾つものトラックに手を出してしまうのもありがちな話です。そして、回数をこなすには範囲が絞れていないとそもそも実行できないので、これは英会話のみならずもはや英語学習全般に必須の考え方だと言えます。

 

的を絞って手を広げすぎない。常にこのことを心がけておきましょう。
 

 

進歩を感じられる仕組みをつくる

3.で申し上げた「的を絞って繰り返す」ことを実行していると、これで果たしてスラスラ会話ができるようになるんだろうかと不安になることがあります。

 
これは、今まで英語を勉強として要領良く憶えられてきた方ほど強く感じるようで、憶えるだけのほうが時間がかからないので無理もないことだと思います。しかし、ペーパーテストに終始するならともかく、多くの方の目標は「スラスラ話すこと」なので自動化は残念ながら避けては通れません。

 
では、この焦燥感をどのように解決したらよいのでしょうか。

 
1つの方法として「自分の会話を録音しておく」というのがあります。

こう言うと「自分の下手な会話なんか聞いていられるか!」と怒り出す方がいらっしゃるのですが、その気持ちもよくわかります。恥ずかしい気持ちもあるでしょうし、早く先に進んで上達したいと焦っているのだから尚更ですよね。

 
これは何も、復習としてその場で聞いてくださいと申しているのではありません。記録として取っておくという意味です。

 
不思議なもので、その場で現実を突きつけられるのが嫌な方も、できるようになってからだと気持ちに余裕が生まれるのか、以前の自分の会話をすんなり聞けることが多いようです。まして人間の記憶は非常にあやふやなので、過去の自分がどんな感じだったか記録として残しておくことは非常に有効です。

 
進歩が感じられると今の学習方法に自信が持てますし、何より自信を持って発話できるようになります。コミュニケーションにおいてはこの「自信」がすごく大事な要素で、同じことを話していてもより相手に伝わりやすくなります。直接感じる圧が増すだけでなく、自信の無さからくる無駄な間や回りくどい言い回しが減るのでしょうね。

 
昨今はオンライン英会話等で記録が自動的に残る媒体もあって便利ですが、そうした機能が無くてもスマホやICレコーダーを使って記録しておくことをオススメします。もちろん、抵抗なく自分の発声が聞ける方は、発音矯正や表現のブラッシュアップにも使えるのでより効果的です。
 

 

今の状態を客観視する

4.とも重複する部分があるのですが、特に慣れるまでは自分の学習方法が合っているか自信が持てなかったり、進歩を感じず徒労に感じたりすることが多くあるかと思います。そもそも目標設定が的確なのか、という迷いもありますよね。英語学習には真偽不明の怪しい風説も多いので、真剣に学んでいればいるほど疑問が尽きないのが特徴の1つかもしれません。

 
そんな時のために、信頼できるコーチを見つけておくのが有用です。ここ10年ほどで英語のコーチングスクールが激増しましたが、あれは画一的な学習方法が英語上達においてはいかに危険なことなのかが認知されてきた結果だと思われます。昨今では英会話のプログラムにもコーチングが付与されていることが多いので、ぜひ利用して今の自分の状態を診てもらいましょう。

 
必ずしも一から十まで指導を仰ぐ必要はありません。ちょっとした疑問に答えてもらうだけでも、胸のつかえが取れたように清々しい気持ちで取り組めるようになるものです。

また、マンツーマンでなくても、グループで受けるコーチングもまた違う意味で有用です。他の受講者が抱える悩みが自分と共通していることもありますし、上手く学習できている方のやり方を参考にすることもできます。

 
各種の検定試験を目標にしている方は、スコアが出るので自分の現状を数字で知ることができます。が、英会話は指標にしづらく、数少ない試験を受けるのにも心理的なハードルが高いのが現実です。忙しいなか少ない時間を割いて取り組むことですので、時々アドバイスを受けて軌道修正し、自信を持って学習できるようにしておきましょう。

 

 

この記事を書いた人
株式会社インターナル・ドライブ 英語学習コーチ
英語コーチングが普及する初期より活動し、3ヶ月間でTOEIC200〜300点UPを多数輩出するコーチングスクール

    監修:同社代表取締役 船橋 由紀子

  • 11年間で約5000名の英語指導に従事
  • アドラー心理学やNLPも駆使した英語指導で、短期間でのTOEICスコアアップ、英会話力アップする方を次々と輩出
  • 監修の船橋の著書「英会話は筋トレ。」は3万部を突破
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HanasoBizスタッフ編集