「ビジネス英語」に必要な要素とは?

「ビジネス英語」に必要な要素とは?

世の「ビジネス英語」教材に欠けているもの

初めまして、英語講師の関正生と申します。この記事では「ビジネスにおける英語」に必要な力を俯瞰して、全体像を私なりに解説していきたいと思います。

ビジネス英語に関する情報・記事は、書店にもネットにも溢れていますが、今回は「英語研修を担当している」部門(人事・企画)の方に向けた、おそらくかなり珍しい記事です。

というのも、私のところに講演依頼などの連絡をくださる方は人事部や企画部の方であり、どなたも同じ悩みを持っているので、その解消に少しでもヒントになればという思いで今回色々と書いていこうと思います。同じ悩みで代表的なものは以下のものです。

 

・社員には、英語に興味を持ってほしいが、それができない

・社員が英会話を学ぶ機会が必要だが、どうしていいかわからない

・講座を用意しても受講率が悪い・継続してくれない

・レッスンを受けるだけで、成果が見えにくい

 

こういった悩みを抱えている担当の方々は、ビジネス英語の教材・サービスを真剣に探しているかと思います。それこそ書店や英会話スクールには「ビジネス英語」だけでも数えきれないほどの教材やコースがあります。それぞれに工夫や特長があるのでしょうが、僕からみて、共通して欠けていると思う視点が2つあります。1つは「英語だけの視点で語っている」ということ。もう1つは「学習の全体像が見えていない」ということです。それぞれ説明いたします。

 

ケース(1) 英語だけの視点で語っている

英語の教材なので当たり前のことなのですが、英会話、特にビジネス英会話になると、実は英語力が占める割合というのは半分程度というのが私の見立てです。言うまでもなく、最優先すべきは「仕事力」であり、次は「人間力」ですよね。その「仕事力と人間力」を効果的に伝える手段が「英語」というだけです。

いつの間にか「英語をペラペラ話せると仕事力も上がる」と錯覚してしまいます。それは英会話産業の宣伝文句ではそうでしょうが、実際には日本語で伝えられること以上のことが英語で伝えられるわけがありませんよね。

 

ケース(2) 学習の全体像が見えていない

ビジネス英語の教材・コースは、バリバリ仕事で英語を使っている人がつくることも多いのですが、それはある意味、理想ではあるものの、大半の学習者の「実情」と合っていないことになります。学習者が学校で何を学び、何を学んでいないかがあまり考慮されていないのです。学校で習うことが使えるなら、それを利用するのが一番の近道です。また、学校で習わないけどビジネス英語では大切なことは、他のことよりもじっくりと説明をしないといけません。ところが、習ったことであろうと、そうでなかろうと、同じ扱い・同じ解説になっていることがほとんどです。その辺の「緩急」がないと学習者は苦労することになります。

 

(1)については、この後に私なりの分析をしていきます。(2)については私自身が小学生にはNHKラジオ講座のテキストで連載を持っており、中学生・高校生はオンライン予備校『スタディサプリ』で年間140万人を教えているので、間違いなく日本で一番受講者数の多い英語講師であるはずで、その立場から語れることがたくさんあると思います。また、ここまでなら塾の先生なのですが、大学生・社会人にはTOEICテスト対策、そして英会話の本の出版など、日本人英語学習者全体に教える稀な講師として、学校で何を習ったのか、習わないのか、どこが苦手なのか、などを知った上で色々な指導ができると自負しております。

 

英会話に必要な「英語力・仕事力・人間力」について

ビジネス英会話に必要だと思う力を私なりに分析すると、以下の3つに分けて考えていくのが有効だと考えます。

 

英会話に必要な3つの力

(1)英語力  ①会話力  ②文法力  ③TOEIC力

(2)仕事力

(3)人間力  ①会話の瞬発力  ②雑談力  ③場慣れ

 

(1)英語力

まずは当然ですが、英語力です。ここでは英語力をさらに分解して、会話力・文法力・TOEIC力と明確にすることで、各自(もしくは各社)に何が必要で、何を強化すべきかなどが見えてくるはずです。

 

①会話力

いわゆる「会話の決まり文句」をしっかり覚えておく必要があります。ただし丸暗記やよくある工夫のない和訳で覚えても上手には使えません。たとえば、I can’t wait! という表現は日本人のおそらく99%以上が「待ちきれない!」と訳し、そう覚えていますが、日本語の会話で「待ちきれない」という言葉を使うことはそう多くないでしょう。その意味で覚えてしまうと、普段の日本語の会話でそんな大げさな表現はめったに使わないだけに、当然英語でも使う機会がない、ということになるのです。

これは「すごく楽しみです」くらいに考えれば、パッと使いたいと思う場面がいくつもあり、実際に口に出すことができるはずです。

 

②文法力

世間では「文法を気にしてしまうので会話ができない」と言われますが、逆です。「文法を意識しないから、単語だけの会話になってしまう」のです。文法に則って、主語・動詞から始めようとすれば、英語がしっかりしたものになります。また、発音が多少悪くても、文法がしっかりしていれば相手にも伝わりやすくなります。

何より、文法的にきちんとした英語・まともな英語というのは「ビジネスで信用を勝ち取る」ための大事な道具になります。

 

③TOEIC力

最近は「TOEICテストで高得点でも英語を話せない」という文句があります。そもそもTOEICテストは「読む・聞く」試験なのでスピーキングは関係ないのですが(一応、スピーキングとライティングを試すTOEIC S&Wという試験も別にあります)、スピーキングの土台になるリーディング・リスニングの力を養成するのに、非常に効率的な試験なのです。

TOEICで使われる表現はビジネスでそのまま使えるものが多く、ビジネス英語の基礎を構築するのに大変有効です。何より、TOEICのような「試験」でスコアが出せないようでは、「実際のビジネス」で英語を使うなんて無理でしょう。

 

(2)仕事力

これは各業界・各企業で異なり、英語講師の私が口を出すことはありませんので、ここでは割愛させて頂きます。極論を言ってしまえば、仕事力が高ければ相手(取引先・同僚など)はたとえ崩れた英語であろうと、日本人発音丸出しだろうと、その英語に真剣に耳を傾けてくれます。

 

(3)人間力

これも仕事力同様、英語の話とは関係ない… 部分が多いのですが、英語が「コミュニケーションの道具」であり、かつ、この人間力が英語の先生たちから説明されない現状を踏まえ、ここで少し私なりに説明させて頂きます。

 

①会話の瞬発力

英会話表現での瞬発力です。わかりやすく言えば「あいづち力」と言ってもいいでしょう。Sure.「もちろん」とか、That makes sense.「なるほど」とか、多様なあいづちを0.1秒で口から出す力です。こういった表現は、資格試験やプレゼンでは重視されませんが、普段の会話では大変重要です。

 

②雑談力

1つは英語でよくある雑談(「週末の予定は?」など)にパッと返せることです。もう1つは、英語とは関係ない「アドリブ力」と言えるでしょう。たとえば「忍者はどこに行けば会えるの?」と聞かれたときに、「心の中にいる」でも「一般人に姿を見せないから忍者なんだ」でも何でもいいのですが、笑いながら何かしら返せるような力です。うまく返せればビジネスはスムーズに行くかもしれませんよね。

 

③場慣れ

やはり目の前に、初対面の外国人がいるという特殊な状況で話をするということには慣れ・経験値が必要です。

 

 

いかがでしょうか? 漠然と「英会話が苦手」と言っているより、このように「分解」していくことで、どこが足りていて、どこが足りないのかが見えてくるものです。

 

私が10年以上教材監修をしているオンライン英会話hanasoやビジネスオンライン英会話HanasoBizでは、きっちりした会話表現は当然ですが、Sure. のような「軽い」表現もしっかり口から出てくるように教材でしっかり扱っていますし、反復することで口から出るHanasoBizメソッドもあります。たくさんレッスンをこなせることで、場慣れも解消できます。そして何より、人事ご担当目線での「進捗具合」のチェックも可能となっております。ご興味あればぜひサイトのほうもご覧ください。

 

 
 

この記事を書いた人
関 正生
慶応大学文学部(英米文学専攻)卒/TOEICテスト990点満点取得
▼詳しくはこちら
https://biz.hanaso.jp/features.php

  • オンライン予備校『スタディサプリ』『スタディサプリENGLISH』講師
  • 著書累計300万部『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』など120冊以上
  • 連載:『CNN ENGLISH EXPRESS』『小学生の基礎英語』にてコラムを連載
  • 雑誌の記事執筆:『ENGLISH JOURNAL』『NHK 英語でしゃべらナイト』寄稿多数
  • 講演:九州大学・明治学院大学・北海道大学など
  • DVD授業:全国のTSUTAYAにて33タイトルがレンタル中
HanasoBizスタッフ編集